ピアノの転回(inversion)とは、和音の構成音の順序を変えることで、異なる響きを持たせる技法です。特にピアノでは、和音を転回させることで音の動きを滑らかにしたり、手の位置を変えずに演奏しやすくしたりすることができます。以下は転回の基本的な説明です。
三和音(トライアド)の転回
三和音は、根音(root)、第3音(third)、第5音(fifth)から成ります。例えば、Cメジャーコード(C)はC(根音)、E(第3音)、G(第5音)で構成されます。
- 原位(root position)
- 音の並び:C – E – G
- 例:Cメジャーコード
- 第1転回形(first inversion)
- 音の並び:E – G – C
- 根音が一番上に来ます。
- 第2転回形(second inversion)
- 音の並び:G – C – E
- 根音が真ん中に来ます。
四和音(セブンスコード)の転回
四和音は、根音、第3音、第5音、第7音から成ります。例えば、Cメジャーセブンスコード(Cmaj7)はC(根音)、E(第3音)、G(第5音)、B(第7音)で構成されます。
- 原位(root position)
- 音の並び:C – E – G – B
- 例:Cmaj7
- 第1転回形(first inversion)
- 音の並び:E – G – B – C
- 根音が一番上に来ます。
- 第2転回形(second inversion)
- 音の並び:G – B – C – E
- 根音が真ん中に来ます。
- 第3転回形(third inversion)
- 音の並び:B – C – E – G
- 根音が一番下に来ます。
転回の利点
- スムーズな音の連結: 転回を使うことで、和音間の音の動きを滑らかにし、旋律線が途切れないようにします。
- 音域の拡大: 転回を用いることで、異なる音域で和音を演奏することができます。
- 手の位置の調整: 和音の転回を利用すると、手の位置を大きく変えずに演奏しやすくなります。
- ハーモニーの多様化: 転回により、同じ和音でも異なる響きを持たせることができ、ハーモニーに多様性を加えることができます。
実際の例
例えば、Cメジャーコードを転回する場合:
- 原位(root position): 左手でC(ド)、E(ミ)、G(ソ)を弾きます。
- 第1転回形(first inversion): 左手でE(ミ)、G(ソ)、C(ド)を弾きます。
- 第2転回形(second inversion): 左手でG(ソ)、C(ド)、E(ミ)を弾きます。
まとめ
転回は、和音の構成音の順序を変えることで、音楽に豊かな響きと変化をもたらす技法です。ピアノ演奏においては、和音の転回を使うことでスムーズな音の連結、音域の拡大、手の位置の調整、ハーモニーの多様化を実現できます。転回の理解と実践は、ピアノ演奏のスキルを向上させる重要な要素です。
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